ハングリーであること

満足するな

「足るを知る」という言葉がある。この言葉を真に受けて「満足しよう」としてはいけない。

ネットで「足るを知る」=「満足」とか書いてる奴がいた。バカじゃねえの?と僕は思う。

「足るを知る」の言わんとするところは、「(何かを為さんとするときに)十分道具が揃っているということを知りなさい」ということだ。だから、自分の持っている道具を生かして挑戦する(やってみる)というのが、正しい在り方だ。


僕が会社を興したのは、そのときの生活や境遇、現状の社会に対して不満があったからだ。矛盾するようだが、どんなに会社がでかくなっても、不満は常に持っていなきゃいけない。

不満・不条理に対する憤り、くやしさ、あるいは危機感がない会社は衰退し、やがて潰れる。


挑戦し続けろ

僕たちにとって、挑戦しないことは、これすなわち「死」だ。なぜかというと、これまでそうだったからだ。「挑戦しない」=「死」はこれからも不変の理だろう。

僕が会社を興したのは、忘れもしない、新型コロナウイルスのまっただ中だ。あらゆる物価が上がり、当時僕は塾講師もクビになって、その後バイトの面接にも落ち続け、その中で何とか生きていこうと会社を作った。

最初の仕事では、見積りが甘すぎて大赤字を出したし、半年くらい仕事がないこともあった。やる気が空回りして結果に結びつかないこともあった。でも、僕はずっと会社を経営し続けた。逃げ道がなかったからだ。

実は2期目の今も、研究開発費に、製薬企業を超える規模(製薬企業は売上に対して30%くらいを研究開発費に投じていると言われている)で投資し続けている。あまりの金額の大きさに、正直吐き気がする。でも、僕の選んだ選択肢は最善だと信じている。


なぜなら、僕の目の前にはいま2つの選択肢があって

・何もしないで潰れる確率 100%
・何とか生き延びる努力をして、それでも潰れる確率 90%

この2つなら、どちらかと言えば、後者を選ぶのが正解だと思うからだ。


僕はこれまで短い人生の中で、「絶対安全」と言われた企業が一気に転落する事例をいくつも見てきた。津波で「安全神話」が崩れた東京電力、粉飾で「一生安泰」ではなくなった東芝、判断ミスで破綻したシリコンバレー銀行などだ。

盛者必衰の理なんて言葉があるように、勝者がずっと勝者でいられることはあり得ない。勝者でいられなくなる前に、生き残りを図らなければならない。「挑戦」とは、前向きな言葉でもあるが、弱い僕たちが後ろを向かないため、そして本当のリスクから目を逸らさないために自分たちを勇気付ける言葉なのだ。

だからこそ、僕たちは「挑戦し続け」なければならない。


負けなければ自ずと勝つ

負けないためにはどうするか。「何もしない」のは最悪だ。呼吸すれば金は減る。「ミスしない」――これも悪手だ。銀塩写真に関して技術深耕や幅の拡大には努めず、企業買収のみで事業の多角化を図り、「教科書的なミスはしなかった」コダック社が潰れた事例がある。

最善手は「どんな最悪の状態でも生き残る会社を作る」だ。不況で生き残る会社なら、好景気のときは十分な利益を得られる。

防御を固めることが最も重要だ。火力一点突破で上手く行く一瞬を見逃さないためだ。

リスクヘッジ(防御)とは、一か所に固まって、しかしマクロでは出来る限り分散も図り、ときに錐の先のように鋭く、ときに水のように柔軟に、一点突破できる状態でありながら、攻め落とされない状況を作り出すことだ。


絶対に避けるのは「市場から一発退場」そして「再起不能」となる事態だ。

再起不能な最悪の事態を想定し、損(無駄)を減らす。それから箇所を絞って投資する。

僕たちが住んでいるIT業界は、実はすごく水物だ。IT業界では、あるときクラウドが流行っても、あるときはオンプレが持て囃される。つい数ヶ月前までプログラマ養成ブームだったのに、今はプログラマに取って代わるAIが人気だ。風向きはさざ波が立って、暫くして急に変わる。それがとても怖い。

だからまずは、負けないこと。負けずに生き残っていれば、自ずと勝つことが出来る。

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カテゴリー: 経営

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