利益率100%はぼったくりか
IT業界の値段設定についてだ。
IT業界は原価率が著しく低い。ともすると原価が0円で、売上=粗利という構図まである。実体あるモノを売っているわけではないので、確かに原価は低い。しかし、これはぼったくりではない。
適性価格の決め方
IT業種は膨大な研究開発費がかかる。それらをすべて入れて、営業にかかった費用(オーナーの適正な人件費含む)も全部計上して、それで利益を算出しないといけない。
エンジニア上がりの経営者は、この辺のバランス感覚が弱い。ぼくは値付けに疎く、原価ギリギリの見積もりを出していた過去がある。
研究要素が多い場合、通常のIT業よりもさらに研究開発費がかかる。もちろん、それらも全部入れて最終的には利益を出さないといけない。
その上で、最終的な利益が5〜10%出れば適正。20%出ればかなり高い方だと言える。IT企業の場合、将来にかかる費用を見通して値段を設定しないといけない。
実は値付けというのは非常に難しい行為だ。分かりもしないことを「プロだから分かるでしょ」ということで決めないといけない。
取引先とのパワーバランスや今後の成長見込み、人間関係など数値化できない要素で値段は変わる。めっちゃ変わる。だから非常に難しい。未来のことなんか分かるわけないし、事業が当たるかどうかなんてもっと分からない。
僕は今でも競合他社を見ながら値段を決めている。そして、やっているうちに何となく適正水準が分かる場合もある。でもよく分からない部分も結構ある。安くても高くてもダメ。値付けは練習あるのみだ。
追記(2023/03/31)
まだまだこの頃は若いですね。
値付けは少なくとも原価の倍。例えば150万円で材料を仕入れたら、300万円で売る。これが研究開発型のギリギリの採算ラインです。
原価率が50%を超えるのは、いわゆる「小売業」と呼ばれる業界で、新規参入者の僕らが手を出すのはしっかり仮説を立ててからの方がいいです。(ちなみに、10兆円をかけて11兆円売り上げるビジネスは商社型です。)
原価率は低ければ低いほど良く、キーエンスのように原価率が20%でも売れるというのが、上手いビジネスです。
情報系の場合は、基本は人件費と販管費がかかりますが、これもやはり人件費(時給)の2倍以上が適性な販売価格です。
そして情報系にありがちな「サブスク」は更に複雑な料金体系です。サブスクは生活必需(必要かつ緊急で、痛みを伴うタイプの支出)に強く、需給で値段が決まるので、市場環境を見る実力が付くよう練習してから参入するのが良いと思います。