力の指輪

儲け過ぎるな

The Lord of the Rings という映画がある。強大な力を持った指輪を火山に捨てに行く話である。世界観の作り込みがすごいというので評価されているのだが、物語としては若干難解である。

さて、企業は大企業になるほど硬直が進み、柔軟性が失われる。ともかく社員が多いから、それを管理するだけでも大変だ。顧客が多ければ多いほどシステム的な判断をせざるを得なくなる。

「システム化」自体は良いことだと思う。だが、それが行き過ぎると問題だ。現代はシステム化が些かやりすぎだ。最近の日本のサービスは「顧客に手間をかけさせる」「問い合わせ窓口を隠してサービスを解約させない」「貧乏人の相手はしない」という方向に流れすぎだ。規格ギリギリの粗悪品を売りつける経済学の教科書のような商売が増えていると思う。

あまり具体的な話はしないが、最近の大企業は総じて「金儲け」に走り過ぎではないかと思う。金儲けが問題なのではない。必要分を超えて「もっと、もっと」と欲に負けてしまうのが問題だ。力の指輪は強大な力を持っているが、同時に強大な誘惑の力を放っている。

商売をしていると、目先の利益に負けそうになる瞬間がある。本当に切羽詰まっているときは仕方ないから、利益を追求するしかない。だが、余裕があるのに「もっと」と利益の欲望に飲まれてはいけない。もし利益が上がったのなら、私利ではなく次の投資に使うべきだ。余裕があるならサービスをもっと良くするべきだ。何ならサービスはお金をかけなくても改善できる。

欲望の瞬間は必ず来る。一見すると魅力的に見えるので、飛びつきたくなる。しかし、そこで道を踏み外すといけない。うまい話は良く考えることと、断る勇気を持つこと。誘惑の瞬間というのは、必ず分かる。そこで適切な判断をすることが大事だと思う。

お金という力の指輪は強力なので、非常に魅力的に見える。だから、断るのはすごく難しい。第三者のときは「そんなこと簡単だよ」と言っていても、当事者になると断れない。しかし、あまり指輪の強大な力を使い過ぎると、道半ばで自分が冥界の王になってしまうのだと最近は思うのだ。

投稿日:
カテゴリー: 経営

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です