大人のつながりは強固?
フェアでフラットな競争の代表は官公庁の入札ですが、これも実は「平等で不公平」な競争です。全員に同じだけ下駄を履かせてもらえますが、全員に同じだけチャンスが来ることはありません。
大人というのは若者よりもはるかに強く、そして圧倒的にしたたかに生きています。
談合という言葉はなくなりましたが、似たような行為は今でもいくらでもあります。それでも、僕たち若者はこの領域に踏み込み、そして勝つのです。そのためには敵のやり方を知り、それに備えなくてはなりません。
参入障壁1:資本の壁
敵の戦い方その1は、資本の壁を築くことです。
例えば、IT系で大きな案件を捌く企業といえば、富士通・NEC・NTTデータに加えて、日立・IBM・アクセンチュア等の大御所があります。
では、今年設立した僕の会社がそれらの会社と同じ規模の仕事を明日から出来ますか?無理ですね。
100億円規模の案件を捌く財力のある企業は限られています。こういう事情で大手しか受註できない仕事というのが存在します。
そして手続きの簡素化、そして信用不足を名目に、少額の案件は僕たち新規参入業者には回ってきません。
これが第一の障害「資本の壁」です。
参入障壁2:実績の壁
それから、IT業界でよくあるやり方として、顧客がよく分かってないのを良いことに、自社に有利な仕様書を作成してその条件で競争を実施するという方法があります。
官公庁の入札仕様書を作るとき、官公庁の担当者は詳しい人に相談しますよね。詳しい人って誰でしょう。それは既に過去に案件を受注した実績のある企業の担当者です。
入札案件でノートパソコンの画面サイズや重量・形状まで決まっているものがありますよね。これはそういうことです(例外もあります)。
発注段階で、既に相手の業者が決まっているという入札パターンが入札案件全体の9割を占めます。仕様書を見れば分かります。
仕様書を作る時間だってタダではないのです。僕たち民間業者は時間をかけて仕様書を作っているので、仕様を作った業者が有利になるのは当然のことです。中にはやや度が過ぎているものもありますが、そうせざるを得ない事情があったのだと思うので、僕たちも、それをとやかくは言いません。
これが実績と歴史の壁です。
参入障壁3:つながりの壁
僕たちが一番悔しい思いをしてきたのは、このやり方です。
世の中には「商社」という存在がいます。
例えば官公庁が、浜松ホトニクス社やキーエンス社・ソーラボ社の商品を買いたがっているとしましょう。これらのメーカーは他社が全く真似できない商品を作っていますから、官公庁はこれらのメーカーから買うしかありません。
これらメーカーに対して、独占販売契約を結んでいる商社が4社ほどあります。基本的にメーカーの商品は、商社を通してのみ購入することが出来ます。
商社の中でも、製品の分類に応じて、落札の持ち回りが決まっていますから、事実上入札に参加できるのは一社です。当然ながら、メーカーは零細企業に製品を卸してくれることはありません。僕たち新参者はこの領域(物販)に切り込むことは出来ません。
ソフトウェア・ライセンスの販売も大体同じ理屈で、新興企業にチャンスは来ません。これがつながりの壁です。
しかし、諦めるな
では、これだけ強固な参入障壁に守られている入札ビジネスを、僕たち新参者は諦めるしかないのでしょうか。
それは違うと思います。
「サービスの質が悪くて、値段が高いからライバルに負けた」ということなら仕方ないです。しかしよく考えると、僕たちはまだ商品の値段すら見てもらっていないのです。
担当者は僕たち新参者の名前を知りません。そういう製品があることすら知りません。まずは僕たちのことを知ってもらう必要があります。そのためには何をすれば良いのでしょうか。
官公庁に通って熱意を見せるのはダメです。営業資料を渡そうとゴリ押す担当者はただの「危ないヤツ」です。
壁に立ち向かえ、地面を這いつくばってでも。
知名度も人脈もない弱者が勝つ手段はたった1つです。それは、入札に勝って「人権」を得ることです。
敗者に発言権などありません。自社にとって不利な条件でも、利益が薄くても、まずは案件を取らなくてはいけません。
案件が取れたら、全力で働きます。そして安い価格で他社よりも圧倒的に良いサービスが提供できると認めてもらうのです。それも担当官ではなく、係長・課長クラスに認めてもらうのです。
官公庁ビジネスで、資本も人脈もない弱者が勝ち残る方法はこれしかありません。勝負の土俵に乗ることが出来なければ話になりません。技術やサービスを見てもらえるのは、それからです。
競争相手は、僕たちから見ると「大企業」かもしれません。僕たちの会社の最初の競争相手も、資本金と従業員数で100倍以上差がありました。しかし、戦ってみたら勝てました。
実は大企業も全戦全勝しているわけではないのです。半官半民の通信大手N社や電力大手T社さえも、入札では負けます。担当者と飲みに行った時に言っていたので間違いないです。
ちゃんと作戦を練って、適切に頑張れば官公庁の入札は勝てると思いました。